私が初めてお客様に塗った色、V06。
厚塗りになったり、スジがゆがんで入ったりして、
うまく塗れたことがまだ一度もなかったのだ。
いつも来てくださるお客様は、目がこえてるから、
私がぎこちなく、新人だということもお見通しだ
ろう。私は集中しすぎて息が止まる。塗り終えた
後、やり直して、と言われる気がした。恐かった。
しかし、そのお客様は「ありがとう、あなたの気
持ちがすごくすごく伝わってきた。きれいな色よ。
ありがとう、がんばってね。」彼女は外国人。
ゆっくりと私の目をみて、日本語でそう言ってく
れた。涙があふれて、言葉が出なかった。
一生懸命やってよかった。ネイルは、
人の心までも美しく優しくするのだと思った。
私は彼女がくれた言葉は忘れないだろう。
V06番、私のはじまったばかりのネイリスト
人生において、かけがいのない存在になった。